無料法律相談実施中

 06-4394-7790

土日祝・夜間も対応

24時間
メール受付中

慰謝料請求は誰でもできますか?

相手に原因があって慰謝料請求をする場合、単に慰謝料を請求するだけであれば誰でもできます。
しかし、慰謝料を受け取る権利がないのに慰謝料を請求してしまっては元も子もありません。
相手に原因があって自分が被害を受けている場合、どのようなときに慰謝料を請求でき、どのようなときに慰謝料を請求できないのでしょうか?

ここでは、慰謝料を請求する権利がある場合とない場合を確認することで、慰謝料請求に向けて何が必要なのかを解説します。

慰謝料を請求する権利がある場合

慰謝料を請求する権利があるかどうかを判断するには、まずは慰謝料の定義に自分の事例が当てはまっているかを確認する必要があります。

慰謝料は民法709条に定義されています。

“民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。”

この民法709条には「不法行為による損害賠償」というタイトルがついており、交通事故の被害を受けたときに損害賠償請求する場合など、損害賠償請求全般でこの条文が用いられます。
つまり、相手側に慰謝料を請求する場合には、自分が受けた被害がこの民法709条に当てはまっているかを判断しなければならないのです。

では、具体的にどのような場合において、慰謝料請求が認められるのでしょうか?
例えば、以下のような事例で慰謝料請求が認められます。

相手の不貞行為があった場合

相手が不倫の結果、不倫相手と肉体関係を持っていた場合には、精神的苦痛による慰謝料請求をすることができます。
「不貞行為」とは自由意思によって肉体関係を持つことをいい、不貞行為の事実を相手が認めたり、裁判上で認められたりすれば、慰謝料請求を行える可能性があります。
また、民法709条に定める「損害」には、不貞行為等によって当事者が受けた「精神的苦痛」も入るため、自分の身体が傷つけられたり、自分のモノを壊されたりしていなくても、民法709条に基づく慰謝料請求は認められます。

なお、このようなケースにおいては、不倫相手側にも慰謝料請求できる可能性があるため、弁護士等に相談する際に不倫相手側への請求も相談するとよいでしょう。

相手の暴力行為があった場合

相手から暴力を受けていた場合、この損害はもちろん慰謝料請求の対象となります。
請求可能額は暴力行為の実態と状況によって異なりますが、有形力(殴る・蹴るなどの実際の暴行)以外に言葉の暴力等も慰謝料請求の対象として認められるため、複合的な要因を根拠に慰謝料請求をすることもできます。

セックスレスの場合

セックスレスによる慰謝料請求が認められるのは、およそ半年~1年以上のセックスレスがあった場合となります。
一般的なセックスレスの定義は「1か月以上セックスがないこと」ですが、法律上はおよそ半年~1年以上のセックスレスがあった場合にしか、セックスレスを根拠とした慰謝料請求をすることができません。
なお、セックスレスを理由として離婚請求も同時に行う場合には、夫婦間のセックスレスが法定離婚原因のひとつである「婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」に当てはまることを主張する必要があります。

以上で例示した3つの慰謝料を請求する権利がある場合は、一例にすぎません。
この事例に当てはまっていなかったとしても、慰謝料請求をできそうだと感じた場合には、弁護士に相談してみることをおすすめします。

慰謝料を請求する権利がない場合

では、逆に慰謝料を請求する権利がないのはどのような状態の場合でしょうか?
例えば、以下のような事例があります。

夫婦のどちらにも原因があった場合

結婚生活の破綻が夫婦双方の責任によって生じ、どちらが悪いとは言い切れない場合には、慰謝料請求の権利がないことがあります。
例えば、W不倫のケースなどがこれに当てはまる可能性があります。

なお、実際の離婚訴訟においては、妻が夫に離婚の訴えを起こすと、訴訟の途中でも夫が妻に対して離婚の反訴を起こすケースがよくあります。
これは、夫も訴訟を起こすことで、妻にも離婚の原因があったことを強調することで、慰謝料の金額が変化するからです。

このようにお互いに問題の原因があることで離婚慰謝料についてはどちらも認められないケースがあるため、十分注意しておくとよいでしょう。

相手に特異な性格があった場合

過去の裁判例では、以下のようなケースにおいて離婚請求が認められなかった事例がありました。

【参考元:東京高裁・昭和57年11月25日判決】

夫婦間で決めるべき家庭の重要事項をすべて夫が独断で決め、妻の相談に耳を貸さず、妻が愚痴や非難めいたことを言うと手当たり次第に物を(妻ではない方向に向けて)投げつけるなど、妻が夫の考えを理解できない状態に陥った。
判決においては、離婚請求については認められたものの、慰謝料については、ことさらに「夫婦として共同生活を破壊しようとしたとか、妻を虐待したというのといささか趣が異なる」として慰謝料請求を認めなかった。

上記のように、一方に夫婦生活破綻の原因があるようにみえても、慰謝料請求が認められないケースもあります。
夫婦間の状況をよく考慮したうえで、慰謝料請求を判断する必要があります。

時効が成立していた場合

離婚慰謝料については時効が定められており、離婚後3年以内に行う必要があります。
例えば、不貞行為による慰謝料を請求する場合、相手の不倫を知った時から3年以内であれば慰謝料を請求することができますが、相手の不倫関係が継続している場合には、毎日新たな不法行為(慰謝料請求の根拠)が発生していると考えて、過去3年間分の慰謝料請求が認められます。

以上のような場合に慰謝料請求が認められない可能性があるケースですが、実際の判断は個別の事例によって大きく異なります。
最初から「慰謝料請求は認められない」と判断するのではなく、弁護士等に相談するようにしましょう。

自分で慰謝料請求を進めるリスク

慰謝料請求は自分で進めることもできます。
しかし、法律を根拠に慰謝料を請求するため、一歩間違えれば自分が損をしてしまう可能性があります。

慰謝料請求を自分で進めることには、以下のようなリスクがあります。

  • 慰謝料の相場が分からず、相場よりも低い価格での交渉をしてしまう可能性がある。
  • 慰謝料請求に必要な証拠資料が十分に揃わず、慰謝料請求自体を認めてもらえない可能性がある。
  • 相手に弁護士等が付いていた場合、言い負かされてしまう可能性がある。

このような事態を防ぐには、弁護士に状況を正直に話して、自らの権利を守ってもらう必要があります。

弁護士に相談すべき状況

慰謝料問題を解決するには、早期に弁護士に相談することが重要です。
慰謝料請求を決意したらすぐに弁護士に相談するとよいでしょう。
ただし、その時には相手側に慰謝料請求等の話を一切せず、弁護士に相談するようにしてください。
「慰謝料請求をする」と相手に伝えたり、「弁護士に相談する」と相手に言ったりしてしまうと、相手が慰謝料請求の証拠となるような資料を隠してしまう可能性があります。
そのような事態を防ぐためにも、まずは弁護士に秘密裏にご相談ください。

まとめ

慰謝料請求は法律が関わるため非常に複雑です。
慰謝料請求で困ったときにはまず弁護士に相談し、判断をゆだねるとよいでしょう。