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へそくりも慰謝料請求の対象になりますか?

配偶者の不倫が原因で離婚する場合、慰謝料と財産分与というお金の問題が発生します。
後々の金銭トラブルを避けるためにも、離婚を考える際には慰謝料と財産分与について把握しておきましょう。
特に、結婚生活の中でへそくりをしていた人は、相手にへそくりの存在を知られていなければ自分だけのお金だと思いがちです。
今回は、へそくりが慰謝料請求の対象になるのか、離婚に伴う財産分与の考え方を詳しくご紹介します。

へそくりは夫婦の共有財産?

相手の浮気が原因で離婚をする以上、財産分与も離婚の原因に左右されるだろうと考えたい気持ちは理解できます。
しかし、法律では配偶者の不倫により離婚する場合でも、財産分与は夫婦の共有財産を折半することが基本です。
ちなみに、離婚の際に財産分与を請求し忘れても、離婚後2年以内なら請求が可能となっています。

へそくりが財産分与の対象になるケース

ここで気になるポイントが、「へそくりが財産分与の対象になるか」です。
収入源が配偶者で、財産の名義が自分ではなくても、結婚後に購入したものは財産分与の対象であるのと同様に、へそくりが結婚後に貯めたものだった場合は、離婚時の財産分与の対象となります。
一生懸命コツコツと貯めたへそくり、自分の力量で資産運用したへそくりでも、結婚後に貯めたお金なら夫婦の共有財産です。
ただし、結婚前に貯めていたへそくりなら財産分与の対象外となるケースもあるため、弁護士に相談してみてください。

へそくりを隠していたらどうなる?

もしも、へそくりを隠した状態で財産分与を行い、後々バレたらどうなるかも気になるポイントです。
配偶者の浮気で離婚をするのだから、へそくりを分けるのは嫌だし離婚の財産分与時にも隠しておきたいという気持ちは分かります。
しかし、へそくり隠しはバレた時に大きなトラブルを招く可能性があります。
まず、民法768条1項で財産分与請求権が認められているため、財産分与の請求があるのに、へそくりを隠していれば詐欺罪に、へそくりを持ち出していれば窃盗罪が成立する可能性が高いです。
窃盗罪となれば刑事責任を負うこととなります。
また民事上でも、へそくり隠しは損害賠償の請求が可能です。
財産分与請求は離婚後2年以内なら請求が可能なため、結局は財産分与を請求されることになります。

離婚時の財産分与に含まれない財産もある

配偶者の不倫が原因で離婚をする以上、財産分与でできるだけ多くを手にしたいはずです。
財産分与に含まれる財産と含まれない財産を知って、財産分与で損をしないように対策を講じなくてはなりません。

財産分与に含まれる財産

離婚の理由に関わらず、財産分与の対象として、現金や預金、不動産、家財道具、自動車、家族のための株(有価証券)、退職金、結婚中に積み立てた生命保険の解約返戻金などがあります。
もちろん、へそくりも財産分与の対象です。
自分のへそくりが相手にバレないかと心配しているのは、相手も同じかもしれません。
あなたにへそくりがあるなら、相手にもへそくりがある可能性があり、こっそり財産を隠し持っていないかはチェックすべきです。
家の中に隠していないか探すだけでなく、弁護士に依頼して弁護士照会制度を活用して預貯金のチェックが可能か検討し、相手のへそくりを探してみてください。

財産分与に含まれない財産

離婚時の財産分与に含まれない財産もあります。
対象外となる財産は、結婚前の預貯金、結婚前に持参した家財道具、個人的に買った株(有価証券)、自分の親族から相続した土地、洋服などの個人的な持ち物などです。
つまり、基本的に結婚前の財産については財産分与の対象外となるため、へそくりがいつの段階で貯めた財産なのかが判断の分かれ目となります。
しっかり弁護士に相談して自分のへそくりが対象から外れるか、あらかじめ確認してください。

慰謝料と財産分与は違うの?

へそくりが慰謝料請求の対象になるかを考える際には、慰謝料と財産分与の違いも確認しておく必要があります。
不倫が原因で離婚する場合には、離婚に伴う財産分与の他に慰謝料の問題も発生します。
それぞれの違いを知って、トラブルを未然に防ぎましょう。

慰謝料と財産分与は違う

法律上、慰謝料は民法第709条で、財産分与は民法第768条で規定されています。
慰謝料は、心身・名誉・自由などを侵害する不法行為によって生じた精神的な損害を償うために支払うという性質を持っています。
そのため、不倫をした側からは請求ができません。
時効は離婚時から3年です。
財産分与は、夫婦が共有して築いた財産を、清算して公平に分配するために支払うという性質を持っています。
そのため、不倫をした側からの請求が可能で、時効は離婚時から2年となっています。
混同しがちな、慰謝料と財産分与は性質が異なり、法律の定めも違います。
特に、財産分与については、へそくりを隠していたり、お金に換算しにくい財産があったりするなど、正確な金額が算出しにくい点に注意してください。
財産分与で慰謝料を受け取ってしまうと、別々にもらうよりも損をするというトラブルが発生する可能性があります。

慰謝料と財産分与のトラブル

慰謝料の請求権と、財産分与の請求権は違います。
夫婦だけで話し合って離婚する場合、お金の支払い義務だけを協議離婚書に記載するのではなく、慰謝料としての支払いなのか、財産分与としての支払いなのかを明確にしておくことが大切です。
支払いの内容を明記しておかないと、後々トラブルに発展しかねません。
慰謝料と財産分与を一緒にしてしまうと、本来は財産分与にプラスされるべき慰謝料が十分にもらえないことも考えられます。
不倫の慰謝料の相場は、約50万円~300万円と言われています。
共有の財産が1,000万円という例で考えると、計算上では財産分与分が500万円、慰謝料が200万円程度、合計で700万円がもらえることになります。
財産分与の割合が多いケース、金額が多いケースでは慰謝料が減額される傾向があります。
財産分与は原則として半分ずつではあるものの、お互いの合意で割合を変えることは可能です。
割合を変える場合には、慰謝料は別であることを明確にする必要があります。
いずれにせよ、相手がへそくりを隠していれば、へそくり分も財産分与に該当するため、しっかり調べるようにして損をしないようにしてください。

不倫が原因で離婚する場合、不倫をされた側が多くのお金を手にするべきだと考えがちです。
しかし、財産分与と慰謝料は性質が異なり、しっかり把握しておかないと金銭トラブルに発展しかねません。
自分が頑張って貯めたへそくりを、不倫した配偶者に渡したくないと思う気持ちは理解できます。
しかし、法律上では結婚後に貯めたへそくりは夫婦の共有財産となるため、財産分与の対象となっています。
もし、へそくりを隠していたことが離婚後に判明すれば、改めて財産分与を請求されるばかりか、刑事上・民事上での犯罪に該当してしまいます。
配偶者の不倫が原因で離婚するなら、しっかりと慰謝料と財産分与の違いを把握して、トラブルを避けながら、損をしない対策を取ってください。