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弁護士から慰謝料に関する内容証明が届いた場合の流れ

自分がしてしまった不倫が原因となって夫婦の仲が破綻し、別居するなどした後に、相手の代理人を名乗る弁護士から、慰謝料に関する内容証明郵便が届くことがあります。
「内容証明郵便」と聞くと法律用語のようなイメージがあり、焦ってしまうかもしれませんが、内容証明郵便がどのようなものなのかを知り、その後の適切な対応を把握した上で、落ち着いて行動することが重要です。

弁護士から内容証明が届くとはどういうことか?

まず、「内容証明郵便」とはどのようなものなのかを見ていきます。

例えば、AさんがBさんに、1年後に返すという約束で100万円を貸したとします。
しかし、Bさんは1年経っても100万円を返さなかったとしましょう。
Aさんとしては、どうにかしてBさんから100万円を取り返したいと思うはずです。
そこで、弁護士であるXさんに依頼しました。
一般的なイメージとしては「弁護士に依頼」=「訴訟」というイメージがあるかもしれません。
しかし、訴訟手続きには手間と時間と訴訟費用がかかるため、できることならば弁護士を介した交渉で紛争を解決できれば理想的です。
そこで、「内容証明郵便」を使って、「〇年〇月〇日に貸した、1年後に返すと約束した100万円を返せ」という内容をBさんに送ることになります。

この段階で内容証明郵便を用いることには二つの意味があります。

まず、内容証明郵便は、その末尾に、郵便局長による内容証明がなされた旨が記載されるたり、通常の郵便と比べて正式な文書であるという雰囲気が強くなったりします。
そのため、相手に心理的なプレッシャーを与えたり、こちらの本気度を示したりすることができます。
また、内容証明郵便を送っても話合いに応じないような場合には、訴訟手続きに移っていくことが通常であるため、事実上、相手に対して金銭を支払うように促す強い効果があります。

そして、内容証明郵便には、①どのような内容の文書を、②いつ、誰が、誰宛に出したのか」を証明する機能があります。

  • ①については、内容証明郵便を差し出すためには、謄本(原本の写し)二通を郵便局窓口に提出する必要があり、そのうち1通は差し出した日から5年以内に限って差出郵便局に保管され、1通は差出人が保管します。そして、差出人はその期間内であれば、その謄本を差出郵便局に提出して再度内容の証明を受けることができます。
  • ②については、内容証明郵便を出す際には、一般書留とする必要があります。郵便物を一般書留とすると、配達証明という、郵便物等を配達した事実を証明するサービスを受けられます。これにより、いつ誰が誰宛に内容証明郵便を出したのかを証明することができます。

お金を請求する権利は、行使できることを知った時から5年、もしくは行使できる時から10年経過すると消滅してしまいます(166条1項各号)が、その請求権を放置せずに請求をすれば消滅を阻止することができます。

このように、内容証明郵便とは、相手方に心理的なプレッシャーを与えて真摯な対応を促し、後の訴訟に備えてその文書の内容、差出日、差出人、宛先を証明できる形で証拠として残しておくというものです。

したがって、これが送られてくるということは、相手がある程度本気であり、単に交渉するにとどまらず訴訟を提起することまで視野に入れていることを意味しているといえるでしょう。

証拠を押さえられている

弁護士から内容証明郵便を使って慰謝料請求をされるような場合には、訴訟提起も辞さない姿勢を示す意味合いもあるといえます。
裁判離婚をする場合、訴訟の場で離婚原因を立証する必要があります。
慰謝料請求をされるような場面で問題となる離婚原因は、不貞行為(779条1項1号)でしょう。
そのため、内容証明郵便を送ってきた相手方は不貞行為があったことを立証する証拠を押さえている可能性が高いといえます。
例えば、不倫や浮気を裏付ける現場写真やメールのやり取りの内容、日記などがあります。
したがって、下手にごまかすといったことは相手を刺激し、逆効果になる恐れがあります。真摯に対応することが重要といえるでしょう。

請求意欲の高さがうかがえる

内容証明郵便を送ってくるということは、既に説明したように、相手に対して心理的プレッシャーを与えて任意の支払いを促すとともに、訴訟提起の準備としての意味合いもあります。
そのため、相手方としては、かなり本気で慰謝料を取ろうとしてきているといえるでしょう。
内容証明郵便は、個人でも送ることができますから、弁護士に依頼して送ってきていることからも、かなりの請求意欲の高さが推認できます。
相手の感情を刺激すると調停、審判を経て裁判手続きに移行するといったことになりかねず、解決が長引くこともあり得ます。
そのような事態にならないよう、誠実な対応が求められます。

内容証明で慰謝料請求された今後の対応

では、結婚相手の代理人弁護士から、内容証明郵便を使って慰謝料請求をされた場合にはどのような対応をとっていけばよいのでしょうか。注意すべき点はあるのでしょうか。

まず、「焦らないこと」がポイントとなります。
例えば、内容証明郵便に記載されている「○○日までに支払え」などという文言を真に受けて、実際に金銭を振り込んでしまうといったことはするべきではないといえるでしょう。
なぜならば、内容証明郵便それ自体には、特に法的な拘束力があるわけではなく、単に「いついかなる内容の文書を誰から誰宛に差し出されたかということを証明する」というものにすぎないからです。

そして、内容証明郵便による慰謝料請求がなされた後には、相手方との交渉の場が設けられることとなるでしょう。
不貞行為が原因となっている離婚の交渉のような場は、お互いが感情的になりやすいものです。
交渉が決裂してしまい、裁判などの法的手続きに発展して長引かないように、スムーズに交渉が進むように、「これまでの事実関係を整理しておくこと」が重要になるといえます。

その上で、相手と連絡をとりましょう。
内容証明郵便が送られてきた際に、例えば実際の事実を理由に、特に相手と連絡を取ることなく放置するといった対応を採ると、訴訟を提起されてしまいます。
最悪の場合、それすらも放置すると自動的に敗訴してしまい、相手が主張する通りの額の慰謝料を支払わなければならなくなってしまう可能性もあります。

請求された側が弁護士を頼るメリット

内容証明郵便を使って慰謝料請求をされた場合、通常であれば、まず当事者間での交渉を行うという流れになります。
もっとも、不貞行為が離婚原因として問題となるような場合には、当事者間の感情のぶつかり合いになり、上手く交渉が進まない場合もあり得ます。
そのため、弁護士に依頼することで円滑な交渉が可能となります。
また、離婚には、離婚に伴う慰謝料の適正額をどのように認定するのか等、専門性の高い問題もあります。
弁護士に依頼することで、不当に高い慰謝料の支払いを免れることができます。

まとめ

弁護士が内容証明郵便で慰謝料請求してきたとしても、何ら法的な拘束力ありません。
まず落ち着いて、事態を整理し、弁護士に依頼した上で相手と連絡を取って、円滑な解決を目指すのがポイントです。