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最近噂の「セカンドパートナー」、肉体関係がなければ違法ではない?

最近SNSやメディアで「セカンドパートナー」という言葉を見たり聞いたりするようになりました。恋愛の形については「ソフレ(添い寝フレンド)」をはじめとして様々な言葉がありますが,また新しい言葉が出てきました。なんでもカタカナにすれば「それっぽく」真っ当に見えるから不思議なものです。

今回は,そんな「セカンドパートナー」とはどんなものなのか,そこに潜む法的リスクも含めて解説いたします。

セカンドパートナーとは?

セカンドパートナーとは,既婚者の男女による恋愛のことですが,いわゆる不倫と異なる点は,キスや肉体関係のないプラトニックな関係,友達以上恋人未満の精神的な関係であると言われています。

寂しいから,刺激が欲しいから,一人の女性/男性として扱ってほしいから…そんな気持ちからセカンドパートナーを求めるそうです。

セカンドパートナーのメリットとしてメディアで取り上げられているのは,悩みを共有できる,メンタルケアになる,心の余裕ができる等々随分とプッシュされている印象です。

 

セカンドパートナーは「不倫予備軍」です。

肉体関係がなければ大丈夫「ではない」

はっきり申し上げますが,セカンドパートナーを作ることは不倫の一歩手前の行為です。そういう意味でセカンドパートナーを持っている人たちは「不倫予備軍」といえます。

セカンドパートナーを推奨する,ポジティブに紹介するサイトを数々拝見しましたが,「肉体関係さえなければ大丈夫」というスタンスが目立ちます。あるセカンドパートナー探し専用のマッチングサイトでは,「友達探し」専門と銘打ちながらも,利用目的例として「恋活」「パパ活」を挙げており,浅い付き合いでは済まなそうな雰囲気があります。

後に説明しますが,法的な離婚・慰謝料のセーフ・アウトのラインは難しいところがあり,法律的観点から言えば,「肉体関係さえなければ大丈夫」ということはできません。

 

インターネットサイトによるステマでは?

気になったのは,セカンドパートナーをポジティブに紹介しているサイトが,紹介記事の最後に「セカンドパートナーを探すならここ!」と会員制マッチングアプリや有料出会い系サイトを勧めていることです。

中には会員登録の仕方まで画像付きで紹介しているサイトまであります。パートナーに気づかれにくい連絡先交換用のコミュニケーションアプリまで紹介していますからご親切なものです。

セカンドパートナーについて記載されたブログを色々見てみると,タグに#不倫とつけられていたり,不倫をテーマにしたブログであったりと,やはり不倫との境界線があいまいになっていることがわかります(中には,セカンドパートナーと肉体関係を持ったという記事までありました。もはやそれはただの不貞行為です笑)。

しかし,セカンドパートナーを紹介,解説する(そして有料会員制サイトへ誘導する)サイト・記事は「不倫ではない」と真っ向から否定し,正当化します。なぜでしょう。

 

セカンドパートナーに潜む法的リスク

そもそも「肉体関係を持たない」なら離婚・慰謝料請求されないわけではない

離婚には,協議離婚と裁判離婚があります。協議離婚は文字通り夫婦が話し合って離婚する形,裁判離婚は一定の場合に限って一方の請求に基づいて裁判で離婚する形です。裁判離婚ができる場合を法定離婚事由(民法第770条1項各号)と言いますが,これに該当すると裁判しても離婚となるため,離婚したくなくとも協議離婚に応じる場合が多いです。

そして,この法定離婚事由は基本的に「破綻主義」という考え方によって規定されており、客観的に夫婦の婚姻関係が破綻していると客観的に認められれば離婚が認められる傾向にあります。

セカンドパートナーは「肉体関係さえなければ大丈夫」というスタンスですが,肉体関係がなくとも,セカンドパートナーとの仲があまりにも親密で正規のパートナーとの仲が冷え切ってしまった場合等,この破綻主義に基づいて離婚が認められる可能性があります。

慰謝料請求は,法的に不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条,710条)ですが,昨今では「婚姻共同生活の平和の維持という権利…利益を侵害する行為」であれば権利侵害があるため慰謝料請求が認められるという見解が多くなっています。

セカンドパートナーはお互いが既婚者であるということを知っている以上,たとえ肉体関係がなかったとしても,その関係が親密であるがゆえに,婚姻共同生活の平和の維持という権利を侵害したものとして,慰謝料請求の認められる余地は十分にあります。

不倫予備軍が不倫そのものになってしまう危険

セカンドパートナーは恋愛感情をもって交際するとされているのですから,二人が親交を深めるうちに肉体関係に及ぶ危険は十分にあります。

むしろ,自ら積極的にセカンドパートナーを作りに行った方は要注意です。そもそも、正規のパートナーがいるにもかかわらず,セカンドパートナーを求めているということは,正規のパートナーから心が離れている証拠です。不倫の正当化として「セカンドパートナー」を呼称しているともいえましょう。

仮に,肉体関係に及ぶまいと固く誓っていたとしても,セカンドパートナーが肉体関係を迫ってくる状況は十分考えられます。あなたは恋愛感情を有するセカンドパートナーの要求を拒めるでしょうか。お互いに既婚者である以上,離婚や慰謝料請求が否定されるのは強姦に近いような状況です。嫌々であっても,離婚や慰謝料請求が認められる可能性があります。

 

「ほぼ」不倫であることを自覚しましょう

確かに、肉体関係がなければ離婚や慰謝料請求をするのは難しくなります。しかし,離婚や慰謝料請求のリスクは十分ありますし,「セカンドパートナー」という名前に安心していれば流れで肉体関係を持ってしまい「不倫」になってしまう紙一重の状況です。

また,「不倫」ではなくとも,パートナーへの裏切り行為であることは間違いありません。それを軽々しく推奨し,有料サイトへ誘導する「よこしま」なサイトを信じてはいけません。

「セカンドパートナー」などではなく,まず「今のパートナー」と十分話し合う時間を持ってみてはいかがでしょうか。