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不倫は「古い」!?婚外恋愛と不倫の違いは?弁護士が解説します。

別記事で,横文字で「やましさ」を取り除くことに成功した不倫予備軍ことセカンドパートナーに潜む法的リスクについて解説いたしました。

今度はブログを中心に見聞きする「婚外恋愛」を扱います。カタカナではなく漢字表記ですが,「恋愛」というワードに「それっぽさ」が見えますね。「不倫」のようなドロドロ感がないのでまたまた不思議なものです。

関連記事:最近噂の「セカンドパートナー」、肉体関係がなければ違法ではない?

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今回は,そんな「婚外恋愛」とは何なのか,そこに潜む法的リスクも含めて解説いたします。

婚外恋愛とは?

婚外恋愛とは,セカンドパートナーとは異なり,肉体関係を持つことを含めた,既婚者同士の関係です。不倫と違うのは,夫/妻を切り捨てて不倫相手に走るのではなく,「割り切って」(と表現されています。)相手と交際することだと言われています。

また,カタカナではなく漢字表記だからか,40代,50代といったミドル世代が婚外恋愛に勤しんでいる印象があります。

セカンドパートナーは建前上肉体関係を持たないことを掲げて(そしてそれを正当化する理由にして)いますが,婚外恋愛をタグ付けしているブログを見ると,積極的に肉体関係に及んでいるようです。

一応,婚外恋愛のルールとして「お互いの家庭を壊さないこと」が掲げられており,このルールが破られそうな時が婚外恋愛の終わる時だとされています。これを重要視しているからか,婚外恋愛は既婚者同士で本気にならないというルールもあるようです。

婚外恋愛は不倫そのものです。

上の説明を見てお分かりいただける通り,婚外恋愛は不倫そのものです。「外注」といえば不倫の隠語ですが(主に肉体関係に焦点を置いた隠語です。),婚外恋愛を「外注」と表現しているブログ等も見かけます。
「切り捨てる」か「割り切る」かの違いはありますが,結局心の持ちようの問題です。不倫をしている人たちで従前の婚姻関係が壊れることを積極的に望んでいる人は少数派ですから,不倫とほぼ変わらないと断言できます。
婚外恋愛を推奨しているサイトでは,婚外恋愛の関係を「不倫」と呼ぶことを「アンチ」として批判し,婚外恋愛の正当化を図っていますが,客観的には不倫そのものです。婚外恋愛を別物として考えるメリットは,当事者の罪悪感を軽減する以外にありません。

「婚外恋愛」は客引きのための道具にされている

婚外恋愛は不倫そのものです。「婚外恋愛」という言葉は,不倫しているという当事者の剤策感,後ろめたさを払しょくするために生まれたものでしょう。しかし,当事者の心には「不倫をしている」という自覚と後ろめたさがあるはずです。

そのような後ろめたさにつけこむように,新興宗教に勧誘するようなサイトや,収益につなげようと占いサイトに誘導するサイトも見かけました。

また,婚外恋愛を推奨しているサイトの運営者が既婚者用の出会い系パーティーの主催者であったり,婚外恋愛のメリットを掲げて有料の出会い系アプリに誘導するサイトがあったりと,「婚外恋愛」が客引きの道具にされている例を数多く見ます。

「婚外恋愛」は,上記当事者の罪悪感を軽減すること以外にも,不倫を収益源とする業者がより顧客を増やすために多用しているワードでもあります。

 

関連記事:弁護士が語る!占いを信じて不倫関係を続けているけどどうなるの?

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婚外恋愛の法的リスク

不貞行為として離婚請求される

旦那さん/奥さん(配偶者)以外の人と肉体関係に及べば,それは法定離婚事由である「不貞行為」(770条1項1号)に該当するため,離婚請求を拒むことはできません。

そのため,婚外恋愛が発覚し,配偶者が望めば,あなたは離婚せざるを得ず,家族を失うことになります。

不倫による慰謝料請求をされる

不倫による慰謝料請求は,不法行為に基づく損害賠償請求(民法第709条)としてなされます。その要件は,①他人の権利利益を侵害したこと,②故意又は過失,③損害,④因果関係です。

まず問題になるのは①権利侵害ですが,肉体関係に及んでいる以上,不倫の場合と全く変わりません。配偶者との関係で貞操を守る義務(貞操義務)を破ったという点において,あるいは配偶者との家庭の平穏を害し婚姻関係を破綻させたという点で,配偶者の権利や法的利益を侵害したと認められます。

また,割り切りとはいえ,配偶者以外の人と肉体関係を持てば配偶者との婚姻関係が破綻することはわかったでしょうし、予想もできたはずですから②故意又は過失も認められます。

これによって配偶者は精神的苦痛を被ったはずですから③損害も認められますし,④因果関係も認められるのが通常でしょう。

そのため,婚外恋愛が発覚した際,配偶者からの慰謝料請求を拒むことは基本的にできず,減額交渉をしていくことになります。

なお,不倫の慰謝料の相場は50万円~100万円ですが,不倫を理由に離婚するとなった場合には,200万円~300万円と高額なものになります。

 

支払うべき慰謝料の額が高額になる

それだけでなく,割り切りの既婚者同士の恋愛ということであれば,いわゆるダブル(W)不倫です(婚外恋愛を推奨するサイトによれば,この呼び方は「古い」そうです笑)。
ダブル不倫は複雑な法的問題を孕んでいますが,婚外恋愛の事実が双方の配偶者に発覚し,双方の家庭が離婚するとなった場合,婚外恋愛の当事者はそれぞれの配偶者から慰謝料を請求される苦しい状況になります。
既婚者と独身者でするような不倫であれば慰謝料請求は既婚者の配偶者との関係のみで済むため,通常の相場をベースとした減額交渉が可能です。
しかし,双方が既婚者となると,交渉相手も2方向になるうえ,被害者であるそれぞれの夫/妻が証拠共有して慰謝料増額に動くことも考えられます。
婚外恋愛は「割り切り」の関係を重視するあまり,既婚者同士の関係となりますが,上記のような非常に大きなリスクを孕んでいることを忘れてはなりません。

ブログやSNSで婚外恋愛の様子を書き綴ることも法的リスクあり

婚外恋愛について調べてみる過程で,SNSやブログでその様子を事細かに日記として書き綴っているのを拝見しました。書いている本人はまさに「恋愛」をしている感情なのでしょうか,甘酸っぱさも感じる文章も多々ありました。

ただ,他方で,(夜の生活を含めて)婚外恋愛の相手と配偶者の比較をするブログもありました。

このような文章は往々にして配偶者の心を傷つけるものです。

仮に,このような内容のブログを記載していることが配偶者に発覚したなら,慰謝料増額の事情として使われかねません。

婚外恋愛はお互い既婚者である以上,いくら言葉を「それっぽく」「きれいに」取り繕ったとしても禁断の関係であり,周りに相談等できないのが現実です。抑え込んでいた感情を匿名ブログやSNSで発散するのでしょうが,発覚のきっかけにもなりますし,発覚した際にはブログ等の記載が慰謝料増額の理由になりかねないため,そもそもの相手との関係も含めて辞めるべきです。

婚外恋愛という言葉に騙されずに考え直しましょう

婚外恋愛と不倫は呼び方の問題であり,そこに潜む法的リスクも異ならないことは理解していただけたかと思います。

もし,この記事を読んでいるあなたが今の婚姻関係に不満を持っている場合には,配偶者と一度話し合いの場を持つことをお勧めします。それでも解決しないようであれば,現状で我慢するか,あるいは離婚をしてから新しい交際相手を探すべきです。

婚外恋愛と称して不倫をすれば,慰謝料を払うことになるだけでなく,いきなり家庭を失うことになりかねませんし,それが周囲に発覚すれば孤立してしまうことだってあることをよくよく覚えておいてください。