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慰謝料請求されたら裁判所に行かないといけませんか?

夫婦が離婚するにあたっては、慰謝料請求がなされる場合が多いといえます。
離婚には、協議離婚、調停離婚、審判離婚、裁判離婚等があります。
その全部について裁判所が関与するというわけではありません。
また、裁判所が関与する段階になってしまうと、多くの場合では解決まで長い期間がかかりがちです。
そこで、どのような場合に裁判所に行かなければならないのか、そしてその前の段階で解決するためには何をすることができるかを把握しておくことが重要となります。

慰謝料請求されて裁判所に出廷するケース

離婚に伴う慰謝料請求をされた場合、すぐに裁判所に行かなければならない場合は少ないといえるでしょう。
離婚をするための方法は、①協議離婚、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚、⑤認諾離婚、⑥和解離婚があります。
協議離婚は、離婚全体の87.6%を占めており、ほとんどの場合が裁判所に行かない協議離婚で離婚が成立しています(平成22年厚生労働省「離婚に関する統計」参照)。

したがって、離婚に伴う慰謝料請求をされて、裁判所に行かなければならない場合とは、①協議離婚以外の、②~⑥(調停離婚、審判離婚、裁判離婚、認諾離婚、和解離婚)となっています。

まずは民事調停から

協議離婚(民法763条)がうまくいかなかった場合や、協議離婚をしようとして連絡をとったものの相手が話し合いに応じない場合、離婚すること自体については合意をしたものの親権や財産についての話に折り合いがつかなかった場合には、民事調停によって離婚を試みます。

調停離婚はどのような手続きなのでしょうか。

まず、家庭裁判所に離婚の申立てをします。
この家庭裁判所は、原則として相手方の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
その家庭裁判所がどの地域を管轄しているのかは裁判所のホームページにて確認することができます。
その他、夫婦間で合意した裁判所に申し立てることができます。
なお、調停を飛ばして直接審判や裁判離婚を行うことはできません。
まずは調停を試みるという調停前置主義がとられているからです(家事事件訴訟法257条1項)。

そして、調停においては、家事審判官(裁判官)と2名の調停委員で構成される調停委員会が、第三者として、夫婦の事情を尋ねたり、意見を聞いたりして、話し合いによる合意を目指します。
調停委員への事情説明などのやりとりは、原則として夫婦別々に行われるため、会いたくない相手と顔を合わせなくてもすみ、相手に遠慮せずに言いたいことを言えるような制度設計になっています。

話が合意に達すると、裁判所が調停調書を作成し、調停離婚が成立します。
そうなると、申立人は、離婚成立日を含む10日以内に離婚届を提出します。

調停を重ねても合意に達しなかったり、相手が調停に応じなかったりした場合には、調停不成立となります。

調停が不成立の場合には、審判離婚の段階に移行します。
離婚審判は、家庭裁判所が、調停委員会の意見を参考にし、離婚した方が夫婦双方の利益になる場合など、離婚することが相当であると判断した場合に、裁判所が離婚の審判をするというものです。

もっとも、審判によって離婚が成立するのは極めてまれであるといえます。
なぜなら、家庭裁判所の審判に不服がある場合には、当事者または利害関係人が、当事者が審判の告知を受けた日から2週間以内に異議申立てをすれば、審判は効力を失ってしまうからです。
この異議申立てについては、いかなる理由があるか問われないこととされています。

もし、審判離婚が確定した場合には、調停離婚の場合同様、審判離婚が確定した日を含む10日以内に、市区町村役所に、審判確定証明書と審判書の謄本とともに離婚届を提出します。

解決しなければ裁判に

審判離婚が不成立の場合、それでも離婚を希望する場合には、離婚訴訟を提起することになります。

離婚訴訟においては、まず家庭裁判所に訴状を提出し、その後第1回口頭弁論期日が指定されて、裁判所に呼び出されます。
口頭弁論においては、双方が主張、反論を述べ、証人尋問や本人尋問を行います。

離婚訴訟とはいっても、その手続きの中で和解が成立すれば、和解離婚となります。
また、被告が原告の請求を全面的に認めれば、認諾離婚となります。
裁判所が原告の主張を認めれば、離婚の判決がなされ、裁判離婚となります。

調停や裁判に発展する前にできること

協議離婚が成立せず、調停や審判、裁判に発展してしまうと、裁判所に出向く手間がかかり、時間的な負担も大きく、解決までの道のりはお世辞にも短いとはいえません。
したがって、なるべく協議離婚の段階で離婚を成立させることを目指すべきであるといえるでしょう。

そこで、調停や審判、裁判に発展してしまう前に、あらかじめできることをきちんとしておくことが重要です。
「どのような状態になると、調停や審判、裁判に発展してしまうのか」を明らかにし、そこから、事前に何ができるかを紐解いていきます。

1:話し合いに素直に応じる

まず、話し合いに素直に応じることが重要です。
協議離婚を持ちかけられているのに、意地を張るなどして話し合いに応じないと、協議離婚が不成立であるとして調停に進んでしまうためです。

2:取決めはなるべく公正証書を作成する

協議離婚においては、未成年の子がいる場合には必ず親権者を決めておかなければ離婚届を受理してもらえないこととされています。
また、養育費や財産分与、慰謝料などについては離婚後に決めることもできますが、早く離婚することを優先して後回しにしたり、雑に決めたりしてしまうと、後にそれらについての紛争に発展する場合があります。
公正証書を作成しておくと、そのような紛争を防ぐことができます。

3:弁護士に依頼する

離婚に伴う慰謝料請求においては、請求されている慰謝料が適切な額なのかといった専門知識的な側面があることは否定できません。
また、離婚の協議に関して多くの当事者を代理してきた経験を持つ弁護士に依頼することが、スムーズな解決への近道といえるでしょう。

4:離婚の手続きについて把握しておく

そもそも離婚というものを全員が経験するわけではない以上、離婚の手続きをきちんと把握している人は少ないといえます。
どのような手続きがあるのかを把握し、スムーズな解決を阻害するような行動・発言を自らしてしまわないように気を付けることも重要です。

5:不受理申出書の提出

離婚には感情が伴いますから、一時の感情でつい離婚届に署名押印してしまうという場合もあり得ます。
そのような場合には、不受理申出書を提出し、離婚届の提出を阻止して交渉の場を設ける必要があります。

弁護士にはどのタイミングで相談すべきか?

結婚相手から慰謝料請求をされた場合、直ちに弁護士に相談すべきといえるでしょう。
なぜならば、相手との連絡を含むすべての行動を弁護士に代理してもらう方が、当事者間の感情を排した合理的な行動ができるといえるからです。

また、離婚に際して決めておかなければならない親権の問題や、慰謝料等の事項についても、弁護士に代理してもらうことで、その後の紛争発生(蒸し返し)を防止できるでしょう。

まとめ

離婚は、協議離婚で決着がつかないと、裁判まで進んでしまう場合が多くなっています。
協議離婚で決着をつけるべく、迅速かつ正確な対応が可能な弁護士に依頼することがおすすめです。