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慰謝料請求をしたいと思ったときにまず行うこととは

離婚問題の多くは当事者双方がそれなりに根拠のある意見を持っているがゆえに、双方が意見を言い合うまま議論が平行線をたどってしまいます。

この平行線状態の離婚慰謝料に関する問題を解決するには、法律の専門家である弁護士等に相談することが最初の糸口となります。
しかし、弁護士等に相談するにしても、それなりの根拠を自ら集め、まとめる必要があります。
それは、弁護士はあくまでも相談者の証言や根拠資料を基に問題を解決に導くのが仕事であり、依頼者である当事者が証言したり資料を用意しなければ、十分な業務をできないからです。

ここでは、慰謝料請求をしたいと思った時にまず行うべきことと慰謝料請求の流れを確認することで、慰謝料請求でお困りの方がスムーズに問題を解決へと導けるように解説します。

慰謝料の請求前にやっておくべき5つのこと

慰謝料請求を行うためには、慰謝料請求の根拠となる資料を集める必要がありますが、その前にまず離婚というひとつの法律分野における「慰謝料」とは何を示すのか確認しておく必要があります。
離婚分野における「慰謝料」とは、自分の受けた精神的な苦痛に対する損害賠償のことを言います。
いわゆる「損害賠償」の一種であり、損害賠償自体は民法709条に定義が書かれています。

“民法709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。”

例えば、相手側のDV(ドメスティックバイオレンス)によって離婚を決意したときや、相手側の不貞行為(性行為を伴う浮気・不倫)によって離婚を決断したときに、被害を受けた本人が「相手側の行為によって精神的苦痛を受けた」と主張し、慰謝料を請求することができます。

では、民法709条に基づいて、「精神的苦痛を受けた」と主張し、慰謝料を請求するためにはどのような事前準備が必要なのでしょうか?
以下に事前準備として必要な5つの事項を列挙します。

1.慰謝料請求の根拠となる資料を抑える

慰謝料請求には必ず根拠が必要です。
根拠がなければ、たとえ事実が本人の言うとおりであっても、交渉上は事実として認められない可能性があります。
そこで、誰がどう捉えても「決定的である」と判断できるような資料が必要になります。
例えば、相手の不貞行為による慰謝料を求める場合には、ラブホテルに不倫相手と入る映像・画像や、相手と不貞行為に至った際の音声などが決定的な根拠資料となるでしょう。
また、DVなどの場合には、不貞行為と同じように映像や音声も十分な根拠資料となりますが、それが難しい場合には複数の近隣住民からの証言(「怒鳴り声と殴っているような音が聞こえた」などの具体的な証言)がDVの根拠となることもあります。
いずれにしても、小さな資料であってもできる限り資料をそろえることが、自らの主張を担保するカギとなります。

2.1を基に本当に慰謝料を請求できるのか考える

1の資料が集まれば、ほぼ慰謝料を請求できるはずです。
しかし、実際に慰謝料を請求する場合には、1で集めた資料を基に、相手の行為が民法709条に当てはまることを主張しなければなりません。
つまり、相手の行為が「故意又は過失」であったことと、相手の行為によって「自分の権利又は法律上保護される利益」が侵害されたことを示す必要があるのです。
この2つの条件が認められてはじめて、相手側に慰謝料を請求することができます。
この事実の法律へのあてはめに関しては法律の知識と経験も必要になるため、この段階ではあまり深く考えず、最終的には法律の専門家に相談することを前提としておくとよいでしょう。

3.どれくらいの慰謝料を請求できるか知る

「慰謝料」と言っても、その額は千差万別です。
平均的な慰謝料の相場であっても、数十万円~数百万円と大きな幅があります。
「夫婦間に子どもがいるのかいないのか」、「慰謝料請求の原因となった行為はどれほど重いものだったか」など、それぞれの状況によって金額が変わりますが、例えば、相手の不貞行為に伴う離婚慰謝料の場合には150万円~300万円程度、離婚をしない場合の相手の不貞行為に対する慰謝料であれば50万円~200万円程度となります。
ただし、これは一例にすぎず、離婚時の様々な諸条件の中から適切な慰謝料を算定するため、詳しくは法律の専門家と相談することをおすすめします。

4.慰謝料の交渉方法について考える

慰謝料の請求の仕方はさまざまです。
内容証明郵便で伝えたり、調停で伝えることもあれば、まずは離婚協議の中で伝えることもあります。
現在の相手との関係性にもよりますが、ご自身の気持ちも考慮したうえで決めるとよいでしょう。

5.1~4のことも含んで最終的に専門家に相談する

離婚問題において最終的に頼るべきなのは離婚の専門家である弁護士等です。
離婚問題に携わる専門家には、離婚カウンセラー、行政書士、弁護士などさまざまな専門家がおりますが、離婚カウンセラーは離婚相談に親身に乗ってくれる専門家、行政書士は争いの生じない離婚問題を解決に導いてくれる専門家、弁護士は争いの生じる離婚問題を解決に導く専門家というイメージです。
慰謝料請求で相手との交渉が必要になることが予想される場合には、はじめから弁護士に依頼しておく方が無難でしょう。

慰謝料請求の流れ

離婚の事前準備が完了したら、いよいよ実際の慰謝料請求に入ります。
慰謝料請求は以下の流れで進んでいきます。

1.事前準備

「慰謝料の請求前にやっておくべき5つのこと」に書かれている事前準備をこなしましょう。
事前準備をしっかり行うことで、実際の慰謝料請求で不測の事態(例えば「相手が予想だにしない主張を展開してきた」など)が生じたとしても、柔軟に対処することができます。

2.書面や口頭による慰謝料請求(離婚協議等)

まずは相手側に書面や口頭で慰謝料の根拠と請求額を提示します。
書面の場合には内容証明郵便やメールで、口頭の場合には離婚協議の場で伝えることが一般的です。

3.調停での慰謝料請求(離婚調停)

協議離婚で決着がつかない場合には、調停離婚に移ります。
調停離婚からは裁判所での手続きとなります。
調停委員を介して双方が話し合いますが、話し合いが不成立になってしまった場合には次の手続きに移ります。

4.裁判での慰謝料請求(離婚裁判)

最終的には裁判で慰謝料の決着をつけます。
裁判で結果が出た場合には、それが絶対的な結果となるため、双方が裁判結果に従う必要があります。

5.慰謝料額の確定と支払い

1~4のいずれかの手続きによって慰謝料額が確定したら、相手から慰謝料を支払ってもらいます。
あとで揉めることを防止するために、銀行振り込みなど支払い結果が残る方法で支払いをうけるとよいでしょう。

まとめ

このように、慰謝料の請求時には十分な根拠をもとに手続きを行う必要があります。
あとで問題が蒸し返されてしまうことを防ぐためにも、不安な場合には専門家に依頼することをおすすめします。